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~編集後記~ もしくはアレの謎解き……

~後記対談~
もしくはアレの謎解き……

N:どうもNです。
B:どうもBMISです。
N:いやー、とうとうやってもうたね。
B:そうだね。Nの気まぐれかつ迷惑な53期による図書館月報制作。
N:ってこら、気まぐれとか迷惑とかいうなや。こっちはブログのネタ――じゃなくて、受験で気が沈んでる図書委員会OB諸君を活気付けようと必死なんやから。
B:で、やった結果、月報に従事してしまった図書委員会は、勉強時間が減ったと……
N:……ま、まああれや、今回の月報って俺らの集大成的な月報になったよな。
B:話をずらした……。でだ、まあ集大成といえば集大成だよね。本の紹介もやったし、ラノベ論争もやっているし小説も書いたし、某氏の推薦図書もやったし、そして今対談もやっているしね。
N:そうそう、この月報は集大成! まあ、十分に誇れる作品やわな
B:さらに、実は『団体戦の部』において縦文字なんてものもあるしね。
N:え? ちょ、どこにあったんや?
B:気づいてなかったんだ……(編集者なのに……)。ほら、Nも自称探偵なんだからその辺りは自分で推理してみなよ。
N:いやいやいやいやいや。あれは架空の人物の話やからっ!
B:って、あんたも架空の人物でしょ。
N:は、しまった! まさかの誘導尋問かい!
B:自分で墓穴掘っただけでしょ……。
N:な、何を言うとるねん! バカもお互いにせいよ!
B:Nもバカなんだね……。
N:は、またもやミス! し、失礼かみました……。
B:わざとらしいけどね……。
N:失礼かみっ、痛!
B:本当に噛んじゃった!?
N:っていい加減に本題はいらんかい!
B:(……人のせいにしてる)。じゃあヒント。今回の月報の中で、文法的に明らかにおかしい文を書いている人がいます。さて誰でしょう? ってもう答え言っているようなものかな。
N:え~っと……。ああ、あの人か!
B:そう、あの人
N:カラー刷りなのにかこつけて、有効活用してみました、みたいな!
B:白黒刷りじゃわからないところが痛いね……。
N:まあそこはしゃあないということで。…………。
B:ん? どうしたの?
N:いや、そんでどこに縦文字があるんかわからん……。
B:……………………。
N:何やその沈黙。
B:なんていうか――鈍い!
N:ダイレクトかいな! もっとオブラートに包んだ表現せんかい!
B:オブラートは死語です。
N:あ、そういえばそうやな……じゃなくて! またまた話ずらすなや!
B:ふう、じゃあネタバレしてあげようじゃないか、っと言ってもたいしたことないんだけどね……。まず、『団体戦の部』の前書きに「実際の月報は一行あたり19文字」だと書いてあったね? だからその通り並べてみる。もちろん句読点なんかに注意して。実際にワードとか使ってみると良いかもしれないね。
N:ふんふん、それで?
B:え? それだけだよ。
N:へ?
B:あとは一番右の行を縦に読むだけでOK。解読すると――
N:え~と、なになに。「おりがみ紹介したかった」。
B:となるわけです。わかった?
N:ああ、わかった。でもやな「おりがみ」ってなんや?
B:……そ、それは……。世の中知らない方が良いこともあるんだよ。
N:何やその煮え切らない言い方は。もっとはっきりせい。
B:誰かさんが「ライトノベルは紹介禁止!!」とか言うから、あの人がどれだけ苦労したことか……。
N:ん? なんか言うたか?
B:いや、何でもないよ……。
N:?
B:あ! そういえばさ~。
N:なんや? 前々からふろうと思ってた話題を、さも今思い出したように語る言い方で。
B:鋭いね……。えっと、じゃあ聞くけど、Nは本の紹介意外に何を書いたの?
N:え? 何ノコトヤロ……。
B:『幸せの書』を薦めただけで何もやってないよネ!
N:「ネ!」って……。ま、まあやな、俺は編集頑張ったし……。うん、お前のやたら長い原稿もチェックしたったんやから――
B:あれ? それをやったのって、ひつじさんじゃなかったっけ?
N:……ま、まあやな。さ、この辺で最後の挨拶を……。
B:またごまかした……。え~と、今回協力してくれた図書委員会OBの皆さん。
N:そしてスペシャルサンクスの皆さん。
B:本当に有り難うございました!
N:またやりましょう!
B:ヤ・ル・ノ?
N:字体が怖いがな……。まあ、気が向いたらな。
B:はあ……。また振り回されるのか……。
N:む、何か言うたか?
B:いやなんでもないよ。それでは読者の皆さん、また会いましょう!
N:シー・ユー・アゲイン!


B:で、結局Nは何を書いたの?
N:ト、トップシークレットや……


(end)


~Staff~
The Out Boys of Library Helpers


前委員長:『希望の国のエクソダス』
“夏休みですね。猛暑とセミの騒音に負けないためにも、「ねだめカンタービレ」をおすすめします。”


N:『幸せの書』、『後期対談』
“制作期間一週間w《週報》も夢じゃない? まあとりあえず、頑張ろう受験生……orz”


ひつじさん:『遠い海から来た』、『ラノベ』
“高3生になったのであって、受験生になったわけではない”


遊人:『クドリャフカ』、『Breakthrough』
“世界のどこかには古今東西有形無形のありとあらゆる書物が収められた「バベルの図書館」という施設があるのだとか。”


岩村:『孫子』
“人から嫉みを受けない者はまた、うらやまれもしない者です”
(アイスキュロス「アガメムノン」939)


シジミ:『獣の奏者』
“受験に対してI can do it とは言えない…………。Can I do it?”


Special Thanks!
BMIS:『砂糖菓子』、『舞城』、『小説』
“羽衣――じゃなくて、N書いたの一年ぶり(笑)。ところでこれはミステリ?”


YFG:『某氏の推薦図書』
“たぶん最初で最後の本紹介なので下手くそな文章は堪忍したってください。一応言って置きます。「部外者ですよ?」”


それでは皆さん
御拝読ありがとうございました!!
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~個人戦~ 『本塔の事件』後編

~個人戦の部~
『本塔の事件』


「お~い、Nよ! ちゃんと説明し給え」
「そうだよ、N。なんで今日は《本の塔》が出てこないことが解ったのか、ちゃんと説明してよ」
場所は図書室。日時は、俺の久々の登校から一日経っている。
昨日あることに気づいた俺は、予言したのだった――もう《本の塔》は出てこないと。
「簡単なことですよ。私が《本の塔》ができる条件を排除したんです」
「はあ? 意味わかんないよN君。いったい何のことだい?」
羽衣田がそう叫ぶ。見ると委員長の顔も不満そうだ。
まあ、納得せんわな。
だが、これからの推理はあまりにもばかばかしい。正味推理ですらない。
しかしながら悲しいことに、推理するのは俺ではなくもう一つの人格なので、俺の意見は尊重されなかった。
「簡単な推理ですよ。まず、委員長氏が言っていたように、下校時刻ぎりぎりまでは犯行が行われていません。つまり《本の塔》は下校時刻が過ぎた後に創作されていることがわかります。ですが下校時刻後に、はたして生徒が《本の塔》を作ることができるでしょうか?」
二人の反応は、否だった。
「そうです。ですから私はこの犯行は生徒を除く学校関係者だと思ったわけです。そこで注目するのは《本の塔》が作られた三日前とそれ以前とで何か変わったことがなかったのか、です。お二人さんはそれが何かわかりますか?」
二人は首をかしげる。当然だ、情報が――推理の欠片がないのだから。
「それは、校長先生が学校に夜遅くまで残るようになったことですよ」
二人の顔を見るとやっぱり知らないようだ。
「N、それはどういうこと?」
「実はですね――」
ということで二人に校長先生が夜遅くまで酒に惚けていることを話した。
「……なんていうか、唖然の一言だね」
委員長はそう言った。うん、至極まっとうな意見だ。羽衣田も首を縦に振っている。
「ということで――」
「ちょっと待った!」
俺が推理を続けようとしたら、止めに入ったものがいた。当然羽衣田ということで……。
「はは、きみの言わんとしていることは解ったよ、N。つまりはこういうことだ。酒に溺れた校長先生は酔っぱらい、ふと図書館に入ってしまう。そこで、何が何だか解らないまま、椅子を運び、本を積み、《本の塔》を作り上げたということだね。どうだ、名推理だろう」
……いやいや。
「羽衣田さん、それは違います。そもそも三日間連続で酔っぱらいながら図書館にはいるなんてことがあるでしょうか? 可能性はかなり低いでしょう。それにそんなことしたら、図書館活動を妨げたとして学校中で問題に取り上げられますし、そんな失敗をあの校長先生がするとは考えられません」
そう、あの校長、結構適当なことやっているが、ちゃんと一線を守って上手く立ち回っている人なのだ。だからこそ、どこを批判したらいいのか解らなくて見ている側は困るのだが。やっぱり、部長と似ている……。
「むう。まあ、その点に関しては、N君の意見を尊重しようじゃないか」
羽衣田は苦し紛れにそう言った。まあ、そこそこいい線いってる――わけでもないけど……。
「で、N。続きの推理を」
「ええ、そうですね。今の私の情報で、《本の塔》が出るようになってから、校長先生が夜遅くまで残っていることが解りましたね。そしてもう一つ、今回の事件に必要なことがあるんですよ。何か解りますか?」
ま、解らないだろうな。やっぱりこれも情報の問題だし。というかもう一つの人格よ、わざわざ疑問文にする必要性はあるのか?
「おい、N、焦らさずにちゃんと話してくれ」
羽衣田はそう叫んだ。で、委員長の方を見るとなにやら考え込んでる様子――そして、何かひらめいたようだ。
「あ、解った。って、完全に解ったってわけじゃないんだけど――もしかして校長先生のお孫さん?」
お、なかなか鋭い。さすが委員長だ。
「ええ、その通り。コナン君のことですよ」
「コナン君?」
ああ、また話がややこしくなることを……。二人して首をかしげる。
「ああ、コナン君というのは、お孫さんの名前です。本名は江戸川コナン君なのだそうです」
……この二人に嘘ついてどうする。
「へえ、同姓同名がいるんだね」
「ほう、一度会ってみたいものだ」
なんか信じちゃってるし。説明するのも面倒だし、コナン君で通してしまおう。
「で、コナン君がどう関係しているの?」
「ええ、実はですね――」
一拍おいてこう答えた。
「コナン君こそが《本の塔》をたてた張本人なんですよ」
「え?」
二人は驚いた表情を見せる。
「真相はこうです。コナン君は遊びほうけている校長先生に疲れ、途中で酒飲み場から出ます。そこで目につけたのが図書館。彼は図書館に入りいろいろな本が並んでいるのを見ます。そして、その中で一つ手に取りたい本を見つけました。しかしその本はとても高いところにあり、彼の身長では手は届きそうにありません。そこで考えたのが――」
「《本の塔》だったわけか」
委員長が俺の推理をつないでくれる。
「でもさ、N。別にわざわざ《本の塔》を作らなくても、図書館には梯子があるじゃないか」
「ええ、その通りです。そこが今回の推理のミソです」
と言ってもたいしたことではない。
「実はコナン君――高所恐怖症なんですよ」
そう、その通り。俺がコナン君に「鳥が好きなんですか」と聞いたら彼はこう答えた、「怖い」と。好きでも嫌いでもなく、怖いのだそうだ。聞くところによると「だって、鳥って平気で高いところを飛んでるでしょ。でもその平気――当たり前が怖い。だって普通だったら、いつ落ちるかわからないところにいるのって怖いじゃん。ホント、鳥っていったいどういう神経しているんだろうね。怖くてたまらないよ」だそうだ。で、つまるところ「高所恐怖症なんです」だと。うむ、どうやらコナン君はお祖父さんからは想像ができないくらい哲学的なようだ。
「なるほど。そういえばここの図書館の梯子って一段一段が高いもんね。僕らからしたら平気だけど、きっと子供からしたら怖いんだろうね。だから、より地盤が安定する大判で、しかも必要最小限になるように本を積んだということかな」
「ええ、そういうことです。僕らの先入観が推理を阻害していたんですよ」
そうかっこよく締めたところで羽衣田がこう言った。
「はは、なんだ。結局僕が最初に言った案で合ってたんじゃないか。やっぱり僕は天才だ!」
まあ、無視。
「で、N。どの要素を排除して《本の塔》が作られるのを止めたの?」
「ええ、校長先生に頼んで酒を飲まずに早く帰るように言いました」
まったく、子供を放っておくとは、児童放棄もいいところだ。そこんとこ厳しく言っておいた。
「でもN君よ、どうしてこの図書館が夜遅くになっても開いていたんだい?」
……そう、そこが一番怖いところ。
「ええ……たぶんそれは――」
うう、あんまし言いたくない……。
「部長氏のせいでしょうね……」
そう言ったとたん二人の顔が凍り付く。
「おそらく一日目はただの偶然――偶然部長も夜遅くまで仕事をしていたんだと思いますよ。いえ、偶然だったと信じたいです」
えらく控えめな態度だな……。
「ですがその次の日からは、委員長も言っていたように、事情を知っていたはずですから意図的に開けていたんでしょうね……」
二人は沈黙する。なんせ、前回の《図書館コード》に続き今回も部長氏が絡んでるんだもんな……。二度も暗躍するとは、部長氏もただ者ではない。
「で、でもさ、前の事件では『図書館の知識を深めてもらう』っていう目的があったじゃない……。だからきっと。今回も何か――」
委員長は自分の言葉を途中で切らした。まあ、本人も希望的観測だと解っているんだろう。……ってまてよ、前回の目的は、結局の所『ミステリー気分を味わいたい!』じゃなかったか? だとしたら今回も……。
「ま、まあ、あえてあげるとしたら、最近図書委員がろくに本の返却もできていないから、それを更正しようとするきっかけを作りたかったんじゃないでしょうか……」
どうやらもう一つの人格も苦し紛れのようだ。何なんだよ《きっかけ》って。なかなか笑える冗談だ。いや、笑えない冗談か……。
「ということで、これにて《本塔の事件》は解決だな。はは、やっぱり僕の手にかかればこんなのイチコロだなぁ」
おい羽衣田、解決したのはお前じゃないだろう。それにイチコロは死語だぞ。見ると委員長もため息をついている。
まあ、なにはともあれこれで《本塔の事件》――ネーミングセンスは悪いが――は解決だ。
皆さん、お疲れ様。

その日の放課後、俺は相変わらず図書館へ行くために、階段を下りていた。窓からは、野球部やサッカー部が頑張って部活をしているのが見える。
そんな中で俺は物思う。いったい、部長氏は何者なのかと。
――まあ、そんなに思い詰めることもないんじゃないですか?
って、おい。いきなり話しかけんな。読者が混乱するだろうに。今回はなしの約束だったはずだが、人格の相互会話。
――いえ、でも一応ね
なにが「一応」だ。そんなオプションいらん。
――で、本題の部長氏ですが、あんまり心配する必要は無いと思いますよ
……本当にそう思うのか?
――……まあ、はいとは言えませんね
ほら見ろ。だっていつもなにか事件を持ってくるのは部長氏なんだから。
――ですが、次何か企んできてもこちらが推理してあげればそれでいいじゃないですか
何かすごく楽観的だなお前。
――まあ、悟りの境地というやつです。要は諦めているんですよ
はあ、もう一つの人格もこれか……。できたら俺は、企みが生じる前に阻止したいところだね。
――何故ですか? さっきあんなことを言っておきながら何ですけど結構楽しいじゃないですか。
いや、なんていうかね、《ごたごた》は《探偵機関》のほうで十分なんだよ、まったく。できたら無事平穏に学校生活を送りたいものだ。
――本当にそんなことが可能だと思っているんですか?
その質問に俺は沈黙する……。認めたくないからな。
窓から外を覗くと、桜の木に残っていた最後の花が風で散ってゆくのが見えた。
どうやら俺の平穏はないらしい……。
――《探偵は事件を呼ぶ》んですから
まったく、最後にいやな言葉を聞いたものだ。
俺は今後の平穏を祈りつつも、もちろんそうならないこともうすうす気付きつつも、いつも通り図書館へ向かう――。
                                 
                                  
(FIN)

~団体戦~ 『クドリャフカの順番』

~団体戦の部~
GWに読みたかった本!


『クドリャフカの順番』 
米沢穂信 (角川文庫)


この本は神山高校古典部の折木奉太郎(おれきほうたろう)と、
そんな奉太郎のまわりの愉快な古典部員たちの華麗な活躍をえがく、
熱き青春推理「古典部」シリーズの極み……というのはまったくもって不正確な紹介ですね。
むしろ僕がこの本をわざわざ紹介しようと思った所以は、所謂「王道」を外した人物造型――
自分で「省エネ」を標榜した奉太郎、「データベース」を自任する爽やか系の友人、福部里志、etc.
(他の人はちょっと割愛)
そして物語のラストに明かされた真実の哀切なまでの美しさにあります。
あなたは隠れた真実を見抜けますか?


(遊人)

~個人戦~ 小説『本塔の事件』 前編

~個人戦の部~
『本塔の事件』


一面が桜色に染まる春が過ぎ去り、季節は夏に移り変わろうとしていた。
 そんな暖かな日、俺は1週間ぶりに学校に登校しようとしていた。何故一週間ぶりなのかというと《探偵機関》のほうでちょっとしたごたごたがあったからだ。そのごたごたについてはあえて語るまい。ただ俺が一週間サボるために、例の外国人校長先生に、「すいません、新型インフルエンザにかかりまして」と言い訳したことだけ添えておこう。ちなみに校長先生はその返答として「アラアラ、ソレハ困ッタワネエ」と言った。全くどこでこんな言葉を習ってきたのやら……。これを教えた人の趣味を疑うな……。
 
そんなわけで学校に着くと、いきなり校長先生にあった。
見ると校長先生は子供を連れている。
「ヤア、Nサンコンニチハ。モウインフルエンザハ治ッタンデスカ?」
相変わらず、片言な日本語で挨拶していらっしゃる。
ちなみに《N》というのは俺のニックネームだ。俺の名前が「長門優」なのでイニシャルを取ってそう呼ばれている(最もその名前は偽名なのだが)。そしてまかり間違って学校にいるみんなからそう呼ばれるようになってしまった。みんなからそう呼ばれるようになった理由は――あえて語るまい……。
「こんにちは、校長先生。ええ、この通りすっかり元気になりました」
 後でつっこまれても困るので、今述べておこう。俺が会話で丁寧語を使っているのは校長先生に対する畏敬の念からではない。そんなことは断じてなく、つまるところ《二重人格》だからだ。今の部分重要――でもないがもう一度。
《二重人格》だからだ。
詳しい説明はここでは割愛させてもらう。知りたい奴がいたら「図書館コード事件」のほうを読んでくれ(もっともそんな奴はいないと思うがね)。
「ところでそこにいるのは校長先生のお子さんですか?」
さすがにそれはないだろうと思いつつ、もう一個の人格に任せきりなので、ツッコミは心の中にとどめておく。なんせ校長は御歳六十歳だ。
「イエイエ、コレハ孫デスヨ。私ノネ」
なるほど……孫ね。確かにそういわれてみればそう見えなくもない。もっとももはやクウォーターなので外国人の影は薄いようだ。俺がそう思いながら見つめると、子供は校長の影にそっと隠れた。どうやら人見知りするタイプのようだ。よく見ると目の色が青い。唯一の名残だろうか。
「そうですか。可愛いお子さんですね」
「有難ウゴザイマス」
そう言った後校長は、何か用事を思い出したようで子供と共にどこかへ行ってしまった。

さて、ようやく教室にたどり着いた俺は、久々に登校した学校の雰囲気になれようとしていて。
だがしかし、当然のことながら世の中には和を乱す奴がいるわけで……。
「大変だよ、N君!」
もちろんのこと羽衣田である。羽衣田はかなりの意地っ張りで、自分の負けを認めないところがある。いや、それはまだ許せる。問題は――
「どうかしたんですか羽衣田さん?」
「どうしたもこうしたもないよN君。きみが休んでいる間にね、事件が起きてしまったんだよ、事件が。そんでもって当然のごとくこの羽衣田様が調査に乗り出してね。でも結局解けなかった。僕が解けなかったんだ、この事件はきっとそのまま迷宮入りすると思うね」
問題はしゃべり方だ……。正直これだけは何とかして欲しいね。まったく聞いてて疲れるよ。
しかしまあ、事件と来たか。これはまあ探偵として心揺さぶるものがあるな。いやまあ、探偵するのはもう一つの人格なんだがな。
そんなことはどうでもいい。とにかく詳細を聞こうじゃないか。
「じゃあ、羽衣田さん。詳さ――」
「図書館にレッツゴーだ!」
俺の話を聞くまでもなく羽衣田は勝手に俺の腕を引っ張って図書館に連行していった。
おい、羽衣田。俺の話を聞け!

図書館に着くとそこには委員長がいた。
「やあ、N。久しぶりだね」
この委員長、冨府子規は一言で言うと真面目である。ただし真面目だからといって堅物ということではなく、むしろ柔軟な頭を持っている。カウンター当番をサボる委員が多い中、上手くまとめきるその手腕は尊敬に値するね。
「お久しぶりです、委員長。それで、羽衣田さんから事件と聞いたんですが何かあったんですか?」
「あ、いや。たいしたことではないんだけどね……」
そう言って委員長は俺を図書館の奥の方にある書架に連れて行った。
そこにあった光景は――。
「何ですかこれは?」
あろうことか、椅子に本が積み上げられていた。本棚と本棚の間に……。
「さあ、それがよくわからないんだよね。だいたい三日くらい前からかな。毎日こうなってるんだ。何度元の場所に返してもね。それにさ、昨日は放課後に残れる時間ぎりぎりまで見張っていたんだけど、この有様……」
むむ……。これはよくわからない事態だな……。
というか、この積み上げられた本を毎回返しに行っているのか、委員長は。かなり大判の本が多い気がするが。というか大判しかないと言ってもいいだろう。委員長も大変だ。
「いたずらという線はありませんか?」
一応委員長に聞いてみる。
「う~ん、どうだろ。でもそれだと動機が解らないし、そもそもそれだったら本を積み上げるだけでいいんじゃない? 別に椅子を机のほうから持ってこなくても」
「でしょうね……」
なるほど、委員長もそれなりに考えているのか……。
「はは、それではご要望に応えて僕の推理でも話そうかな」
誰も要望してない! 僕の心の中のツッコミ虚しく羽衣田は語り出す。
「僕の推理はこうだ。つまり本を積み上げてはしご代わりにしていたんだな。そうすれば大判の本や椅子を使った理由も説明がつく。ちょっとでも楽しようとしたんだな、うん。犯人は面倒くさがり、これに決まりだ!」
……やっぱりそう来たか。ある意味想定の範囲内。でも残念ながらそれは否定できる。
「ですが羽衣田さん、ここの図書館には梯子があるじゃないですか」
そう、そうなのだ。この図書館には木製の梯子がある。本棚の上部についてるパイプに、梯子の先についているフックをひっかけて使うタイプのあれだ。一段一段の段差は高いとはいえ、普通であれば上れる高さだ。本で段差を作る必要性はない。
だが羽衣田は人の話を聞いていない。
「さあ、今から面倒くさがりな人を探しに行くぞ! 僕は東棟を担当する。君たちは西棟を担当し給え。そしてこの《本塔の事件》を解決するんだ!」
そういって、図書館から出て行った。
「なんていうか、羽衣田って元気だよね……」

まあ、そういう奴だ。とりあえずほっておこう。
「ところで《本塔の事件》ってなんですか?」
「ああ、それは羽衣田が勝手にそう呼んでるだけだよ」
《本塔の事件》、《本当の事件》……ばかばかしい。何の面白みもない。こんなことがわかってしまう僕が悲しいね。
「で、この件に関して部長氏はなんと?」
部長というのは、図書部の長である。図書委員が生徒の機関だとすれば図書部は先生の機関だ。まあ、つまるところほとんど仕事をしていない。というのも現部長が司書さんに仕事を押しつけているからだ。で、当の本人は何をしているのかというと、「人生に必要なのはC調と遊び心」とかいって常に《楽しいこと》を探しているのだ……。憐れ司書さん……。
「部長にこの件を話したら――」
「話したら?」
そこで委員用は一拍おいた。まるで、何か恐ろしいことを言わんとしているように……。
「にやけた顔で『ああ、それはそれでいいんだよ』って言ったんだ……」
……なかなか恐ろしいことを聞いてしまった。あの部長のことだ、何をたくらんでいるのやら……。想像するだけで末恐ろしかった。
委員長の顔もかなり引きつっている。
「ま、まあそこは部長氏の言葉を信じようではありませんか……」
どうやらもう一つの人格も動揺を隠せないらしい。
「そうしたいところだね……」
そこでチャイムが鳴ったので、話し合いはお開きとなった。
続きは昼休みかな? (それ以前に羽衣田はちゃんと授業までに戻ってくるのか?)

さてその続き、昼休みの予定だったが、残念ながら行われることはなかった。
何故なら図書館に行く途中で、校長先生に会ってしまったからだ。
図書館は一階にあるので、階段を下りて向かっていたのだが、ちょうど一階に着いたときに、玄関の方から慌ただしく走ってくる校長先生を見つけた。というか声をかけられた。
それにしても、校長先生、いつからこんなに物語に絡むようになったんだ? 前の時は、ほんのちょい役だったような気がするが……。
「Nサン、チョウド良カッタ。頼ミ事ガアルンデスヨ」
なんかいやな予感がする。この校長先生も部長と一緒で、娯楽を求めるところがあるからな……。
「実ハデスネ、今グラウンドニ出テイル私ノ孫ヲ見テオイテ欲シインデスヨ」
うんにゃ? 意外と普通なご依頼だ。
「わかりました、お引き受けしましょう」
とりあえず二つ返事で引き受けることにする。
「有難ウ。ハハ、ヤッパリNサンハ頼リニナリマスネ」
「いえいえ、どういたしまして。それにしても、校長先生、何故自分で見ておかないんですか?」
そう俺が聞くと校長はこう答えた、何とでもないという風に。
「実ハネ最近徹夜続キナンデスヨ。夜遅クマデズット学校ニ残ッテイルンデス。ダカラチョット仮眠ヲ取リタクテネ」
……って、寝るのかよ! それは仕事の怠慢ですか、それとも保護者としての役割の放棄ですか! 全然普通のご依頼じゃねえ……。いやいや、でもまあ夜遅くまで学校に残って仕事をしてるんだから、そこは慈悲の心を持って許すべきなんだろう。
「何で夜遅くまで学校に残ってるんですか?」
おいおい、もう一つの人格よ、それは愚問だろう。学校の仕事をしているに――
「実ハココ数日警備ノ方ガオイシイオ酒ヲ持ッテキテクレルンデスヨ。トッテモオイシイデス。Nサンモ一杯ドウデスカ――ッテNサンハ未成年デシタネ、ハッハッハ」
……なにが「ハッハッハ」だ。自業自得じゃねえか……。仮眠取る資格ねえ……。
というか、その酒に対する定型句はどこで覚えてるんだ? 教えた人のセンスを疑うよ……。わざわざ学校の先生に教えんでも。
とか何とか考えてたら、いつの間にか校長はいなくなっていた。
な、逃げられた! 断ろうと思ってたのに……。
まったく、やれやれってやつか……。

外に出てみると、すぐに校長先生の孫は見つかった。
体は小さいけど、高校生しかいないグラウンドではとても目立っていて見つけやすかった。なにやら木陰で空を見上げている。
とりあえず声をかけることにする。
「こんにちは」
すると、孫はこちらを、不審者でも見るような眼で見つめてきた。
「お兄さん誰?」
ということで、校長先生から依頼を受けたことを話した。どうやら孫は納得したようだった。
そう言えばまだ名前を聞いていないな……。
「あなたの名前は何ですか?」
すると孫は、少し迷ってからこう答えた。
「……江戸川コナン――探偵さ」
……予想外。えっと、これボケてるんですよね? ツッコミを求めてるんですよね? なるほど、さっき一瞬迷ったのはこういうことか……。で、俺はなんと答えたらいいんだ?
「ああ、なるほど。では、真実はいつも一つですか」
「うんそうだよ」
あ、なんか通ってしまった。とりあえずもう一つの人格お疲れさん。
「お兄さん、ノリがいいね」
そういって初めて孫は笑顔になった。
「ありがとうございます。いつもそう言われているんですよ」
はい、そこ嘘つかない。
「あ、自己紹介まだでしたね。私はNです。名前はまだ無い」
「へえ、猫なんだ」
……て、おまえら変に意気投合してないか?
「あ、そうか。ノリのいいお兄さんだから、《Nori》だから、Nと呼ばれてるんだね」
違うわ!
「ええ、その通りですよ。名推理ですね」
だから嘘つかない……。
「じゃあ、Nよろしくね」
「ええ、こちらこそよろしくお願いします」
って結局名前聞き出せてないじゃねえか。とりあえず便宜上コナン君と呼んでおこう。全くなんのコントだ……。
「で、コナン君。さっき空を見上げていましたね。何をしていたんですか?」
「ああ、鳥を見ていたんだよ」
なるほど、コナン君は鳥みたいに飛ぶことを夢想してたのかな?
「鳥が好きなんですね」
その質問にはしかし、コナン君は少し沈黙した。やがて――
「ううん、怖い」
――不意に、全てが繋がった。

(後編に続く続く……)


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